NCNPでジストニアの受診をして

はじめに

先日、国立精神・神経医療研究センター(以下、NCNP)で、ジストニアの受診をしてまいりました。
この記事には、病院への批判めいた内容も含まれます。本来であれば病院名を伏せようかとも考えたのですが、他の記事でも既にNCNPの名前を出しておりますので、そのまま病院名を載せることにしました。

先にお断りしておきたいのですが、NCNP自体は日本でも有数の設備を持った医療機関であり、多くの方にとっては適切な治療を提供してくれる病院だと思っています。
ただ、自分の場合は特殊な症例であったため、NCNPでは対応できなかったというだけの話です。NCNPという病院の評価そのものに関わる話ではない、ということだけは、最初に申し上げておきたいと思います。


自分のジストニアについて

他の記事でも触れていますが、自分は5年ほど前からジストニアを患っています。
当初はどの病院に行っても原因不明と言われ続けまして、長らく病名すら分からない状態が続いていました。
1年ほど前、ChatGPTにジストニアという病名候補を挙げられたのをきっかけに、脳神経外科を受診し、ジストニアであることが確定しました(なお、ジストニアは確定診断が難しい病気ですので、100%確実というわけではありません)。

症状としては、歩くときに腹筋が異常に収縮してしまい、腰が前屈してしまいます。
走る際にも腰が曲がり、足の筋肉が異常に疲労します。
以前の自分は20km以上でも結構なペースで難なく走れていたのですが、現在はゆっくりとしたジョギングでさえも、数100m程度しか走れない状態です。


ジストニアの治療と、NCNPに期待していたこと

ジストニアは、自然寛解する(自然に症状がなくなる)割合が、全体で見ても1割程度と言われています。
さらに寛解しやすいのは若い方や発症から間もない方に多く、5年経過した自分のような症例での自然寛解は、限りなく難しいと考えてよさそうです。

近年では、ボツリヌス療法によって症状の改善や寛解が期待できるようになってきたと言われています。
ただ、ジストニアに対するボツリヌス療法を行える病院はどこにでもあるわけではありません。
さらに自分の場合は腹筋が異常収縮するという症状であるため、原因となる筋肉を正確に見極めて注射する必要があり、筋電図や超音波などを使ったガイド下施注が重要になります。
ここまで対応できる病院となるとさらに限られるのですが、NCNPはそれが行える数少ない医療機関の一つです。

そして、ジストニアの治療においては、ボツリヌス療法だけでなく、リハビリがかなり重要になります。
ジストニアは、脳から筋肉への命令がうまくいかなくなり、本来なら力を入れなくてよい筋肉が勝手に収縮してしまう病気です。
ですので、ボツリヌス療法で腹筋の異常収縮を抑えるだけでは不十分で、その間にリハビリを行い、脳が覚えてしまった誤った身体の使い方を、正しい使い方で上書きしていく必要があります。
このリハビリと併用してこそ、ボツリヌス療法は意味を持つということになります。

前の病院で紹介状を書いてもらい、実際にNCNPで受診をするまでは、自分はジストニアの治療にかなりの期待を寄せていました。


NCNPでの診察結果

ところが、実際に受診して医師の話を聞きますと、現実は想像していたものとは違いました。

まず、NCNPにおいて自分と同様の症例の治療には、ことごとく失敗しているとのことでした。
この話を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になるような思いがしました。

さらに、外来でのリハビリは行っておらず、リハビリを受けるには入院が必要で、費用は60万円ほどかかるとのことでした。
そしてNCNPでは、自分のような体幹が前屈するタイプのジストニアのリハビリは、パーキンソン病のリハビリのやり方を応用して行っているとのことでした。
ですので、リハビリを行ったとしても、パーキンソン病ほどの効果は出ないとも言われました。

ここまで話を聞いて、少し合点がいきました。
前述のとおり、ボツリヌス療法だけではジストニアの根本治療にはなりません。
さらに、パーキンソン病のリハビリとジストニアのリハビリは、全く別物です。
自分と同様の症例の方々は、おそらくボツリヌス療法のみで治療を終えているか、あるいはボツリヌス療法とパーキンソン病応用のリハビリの組み合わせで治療を受けているかのいずれかでしょう。
もしそうだとすれば、ことごとく失敗しているというのも、自分なりに納得のいく話でした。


受診後の落胆

結果として、ボツリヌス療法のみは受けられることになりました。
しかし、リハビリなしで治る可能性はごくわずかですので、NCNPでジストニアが治る可能性は、ほぼなくなったと言ってよい状況です。

この先もうランニングに復帰できない、体を鍛えることもできない —— そう思いますと、これからの生きる目的の半分を失ったような気持ちになり、本当に落ち込みました。

他にもジストニア治療に対応している病院はいくつかあるのですが、転院するには紹介状が必要ですし、転院先で本当に自分の症状が治るという保証も全くありません。
何より、自分はNCNPに通院することを前提に、少々割高だと思いつつも今のマンションを購入しています。他の病院に通うとなれば、通院にかかる時間も馬鹿になりません。

本当に途方に暮れまして、その日は勉強もまったく手につきませんでした。


これからの方針

病院では治せる可能性が極めて低いということを鑑み、以下の2つの理由から、自分でジストニアからの復帰を試みることにしました。

まず、他の病院に転院したとしても、自分の症状はジストニアの中でも珍しい症例ですので、治せる保証はありません。
ジストニア治療に対応できる病院について、AIに尋ねればある程度の候補は得られます。ただ、実はNCNPも、AIが「ここなら対応できる」という情報を出していたために、それを信じて転居までして通院した経緯があります。それでもこの結果ですので、AIで挙がる病院候補が自分の症例に対応できるかどうかも、確実とは言えません。
更に言うと、日本国内に本当に自分の症例を治せる病院が存在するのかさえ、分からないのが現状です。

もう一つ、より根本的な問題があります。自分の目標はあくまでもランニングへの復帰ですが、病院側はそこまでの回復を想定していない、ということです。
これはNCNPの医師と話してみて何となく察したことですが、自分のような症例のジストニア治療の目標は、あくまでも「普通に歩けるようになる」というあたりに置かれているように思います。
そこには大きな隔たりがあり、病院側が目標とする到達点では、自分の目標を達成することはできません。

再び走れるようになるには、ランニングに精通した理学療法士などにリハビリを担当してもらう必要があるのですが、通常の病院にそうした方はいらっしゃいません。
ネットで検索しますと、ランナー向けのジストニアリハビリを謳う方も見つかります。なお、ランナーに発症するジストニアとして、ランナーズジストニア(いわゆる「ぬけぬけ病」)というものもありますが、自分の症状はそれとは別物です。
こうしたリハビリサービスはかなりの高額で、当然保険も効きませんし、効果のほども定かではありません。
すべてがそうだとは言いませんが、結構胡散臭い宣伝文句が並んでいる場合も多く見受けられました。
よほど資産に余裕があれば、いろいろな方に相談や治療をお願いすることもできるのでしょうが、現在無職の自分にはまったく無理な話です。

これらの理由から、自分の目標であるランニング復帰を果たすためには、自分で何とかするしかない、という結論に至りました。
無論、高度に医学的な問題が絡みますので、本来は素人考えで行うべきではないことは、十分承知しています。
ただし、どうせ失敗したとしても、平均的には12年後に失うことになる健康寿命を、少しばかり早く失うだけです。

幸い、ジストニアにおいて何をしてはいけないか、どういう状態に持っていけばいいかは、この5年間で散々学んできました。
それを自分の体を通して、さらに経験値を積みながら実施していくしかありません。
専門家の指導がない状態で行うのはかなりのリスクではありますが、一度きりの人生ですので、悔いの残らないように挑戦し続ける道を選ぼうと思います。

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