前回の記事「ランナーズジストニアとその治療について 1」で、ジストニアの治療にはボツリヌス療法、内服薬、脳深部刺激療法(DBS)、リハビリテーションがあることを紹介しました。
今回は、その中で自分が現在受けているボツリヌス療法について、治療の仕組みと実際の効果を書いていきます。
ボツリヌス療法とは
ボツリヌス療法は、自分の意思とは関係なく筋肉が強く収縮してしまう症状に対して行われる注射治療です。
局所性ジストニアである眼瞼けいれんや痙性斜頸のほか、脳卒中後の手足のつっぱり(痙縮)などの治療にも使われています。
ボツリヌス毒素という薬を、症状の原因となっている筋肉に少量注射します。
すると、神経から筋肉へ送られる筋肉を縮めるための信号が弱まり、過剰な筋収縮を抑えることができます。
美容医療で知られるボトックス注射も同じ仕組みを利用していますが、ジストニアでは美容目的ではなく、異常な筋肉の動きを抑えるための治療として行われます。
効果は永久に続くわけではありません。
一般には注射後数日から2週間ほどで効果が現れ始め、3〜4か月ほどかけて徐々に弱まっていきます。
そのため、効果が薄れてきたら一定の間隔をあけて注射を繰り返すことになります。
注射する筋肉の選定とガイド下施注
この治療では、どの筋肉に注射するかが非常に重要です。
ジストニアでは複数の筋肉が複雑に関係していることがあり、症状の原因となっている筋肉を正しく見極めて注射する必要があります。
効きすぎれば必要な筋力まで弱くなり、反対に狙う筋肉がずれていれば十分な効果が得られません。
そこで、特に大きな筋肉や体の深い位置にある筋肉では、ガイド下施注という方法が用いられます。
ガイド下施注とは、超音波や筋電図、X線透視などで体内の様子や筋肉の電気信号をリアルタイムに確認しながら、目的の筋肉へ正確に注射する手法です。
前回の記事で、腰曲がりの原因筋として大腰筋と外腹斜筋が挙げられていると書きましたが、特に大腰筋は体の奥深くにある筋肉ですので、外から触って位置を確かめることができません。
ボツリヌス療法とリハビリ
ボツリヌス療法は、単に筋肉を弱くして終わる治療ではありません。
異常な筋収縮が弱まると、それまでできなかった姿勢や動作がしやすくなります。
その時期にリハビリを行い、より正常に近い姿勢や動きを繰り返し練習することで、脳が覚えてしまった誤った動作を上書きしていきます。
つまり、注射で異常な筋肉の働きを抑えている期間は、正しい動作を練習するための好機ということになります。
自分が受けている注射の実際
自分は、ガイド下施注によるボツリヌス療法を期待してNCNPに転院しました。
「NCNPでジストニアの受診をして」では、NCNPをガイド下施注が行える数少ない医療機関の一つとして紹介しましたが、これはAIから得た情報に基づくもので、自分で確認したものではありませんでした。
初診の際にも担当医にガイド下施注の話をしたのですが、実際にはガイド下施注は行われていません。
現在の方法は、自分で「ここの筋肉が収縮している」と申告し、注射担当の医師がその場所に注射するというものです。
機器がないのか、それとも別の理由があるのかは分かりません。
そのため、本当に原因となっている筋肉に注射できているかどうかは、正確には確認できていない状態です。
注射の効果
実際の効果としては、少し微妙なところです。
効果がないわけではありませんが、完全に効いているわけでもありません。
注射前は、朝起きた時には症状が出ず、家の中にいても昼頃か午後になると症状が出始め、一度出るとその日はほぼ消えませんでした。
前回の記事で触れた早朝効果が、まさにこれにあたります。
それが注射から10日ほど経った頃から、午後になっても症状が出ない、あるいは出ても非常に軽い、という状態に変わりました。
ただし、これはあくまで家の中での話です。
室内ではそれほど速く歩くことがないため、もともと症状が出にくい環境でもあります。
外に出て普通の速度で歩くと、やはりかなりの収縮が起きます。
また、買い物袋などを持って歩くと、必ず強い腹筋の収縮が起きます。
現時点での評価
結論として、注射による改善は見られるものの、日常生活を不自由なく送れる程度には至っていない、というのが現時点での評価です。

コメント