前回に引き続き、「VIVANT」を見て思ったことを書きます。
シーズン1はかなり良かった印象ですが、シーズン2は予算をかけた割には、正直期待外れだと感じています。
一応自分は「VIVANT」自体は応援しています。
それだけに、この現状が少し歯がゆいというのが正直なところです。
自分が一番がっかりしたのは、余りにもチープな演出です。
中でも特に酷いと感じたのが、AIハヤトの描写でした。
突然現れたAIハヤト
シーズン1では一切出てこなかったAIが、数日後という設定のシーズン2でいきなり登場し、別班の全ての行動をサポートしています。
これ程のご都合主義を平気でやってしまうとは、本当に呆れるしかありません。
一応設定上は、シーズン1のテント潜入作戦では情報漏洩を防ぐためにハヤトを外していたことになっています。
しかし機密保持が理由であれば、同じく極秘であるはずのシーズン2の作戦でハヤトに頼り切っているのは辻褄が合いません。
結局のところ、全く説明になっていないのです。
更にAIが自らアバターを作ってキャラクターとして振る舞うことは考えにくく、仮にそうなったとしても、自衛隊のような組織がそれを受け入れることはあり得ません。
一部には「説明役として人間のセリフが減って画期的」「時代の必然でAIを入れた」といった評価もあって驚きましたが、自分には子供だましにしか見えませんでした。
見栄えだけを優先した大画面
何故あれ程大きな部屋で、プロジェクターや通常のモニターではなく、四方を囲む巨大な画面に表示する必要があったのでしょうか。
撮影現場では700枚以上のLEDパネルで360度を囲んだセットを作り、リアルタイムで映像を映しながら撮影したそうですが、これ程の無駄遣いはありません。
ドラマの見栄えだけを優先させた結果なのでしょうが、自衛隊がこのような施設を作ることはありませんし、その必然性もありません。
成立していないスタンドアロンの設定
設定上ハヤトは、外部のネットワークから隔離されたスタンドアロン環境で稼働する、完全自律型AIとされています。
しかし作中では防犯カメラやSNSから情報を集めたり、公安のシステムに侵入したりしているので、外部のネットワークに接続していることは確実です。
これではスタンドアロン環境という説明は成立しません。
別班だけが持つ強力なAI
別班がAIを使っているのであれば、「中国の別班」とされるシンシーは、更に強力なAIを使っていると考えるのが自然です。
日本よりも中国の方が、つぎ込める予算も人員も遥かに多いからです。
この不自然さは、公安のシステムに侵入するシーンにも表れています。
ブルーウォーカーが公安のセキュリティの高さに音を上げたところ、ハヤトが代わりにあっさりと侵入を成功させてしまうのです。
そもそもハッカーは、その場の状況に応じて最適なツールを組み合わせるものです。
これ程のAIが存在する世界線であれば、ブルーウォーカーもAIを活用しているはずです。
同様に公安も、ネットワークの防御にAIを使っているでしょう。
それなのに、ハヤトだけが簡単に侵入出来てしまうのは不自然です。
自衛隊の一組織である別班だけが強力なAIを保有しているという設定は、ご都合主義以外の何物でもありません。
海外展開への疑問
前回も書きましたが、この作品は海外進出も視野に入れ、日本のドラマとしては破格の予算をつぎ込んで制作されたと聞いています。
しかし、ご都合主義で現実離れした上に演出もチープとなれば、国内ではある程度許容されても、海外で受け入れられるのは難しいのではないでしょうか。
監督をはじめとする制作陣は、本当に素人なのかと疑ってしまいます。
海外進出を謳いながらもこのような出来上がりになってしまう原因は、現在の日本のテレビ制作体制にあるのではないかと思います。
現場では「監督の裁量優先」「国内視聴者第一」の伝統が強く、海外の視聴者の目にどう映るかが十分に検討されていないのではないでしょうか。
海外を視野に入れるのであれば、少なくとも国際標準をチェックする専門アドバイザーを入れるなどして、受け入れられるためにどのような演出が必要なのかを研究する必要があると思います。
「所詮日本はアニメだけ」と言われないためにも、ドラマでも頑張ってもらいたいものです。

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